要約
2026年5月、外交専門誌『Foreign Policy』のコラムニスト、C・ラジャ・モハン氏は、トランプ政権下で激化する国際情勢において、中堅国(ミドルパワー)の集団的行動が世界秩序を形成する力を持っていないと指摘した。G7首脳らがカナダで会合を開くなど、中堅国は連携による影響力行使を模索しているが、現実には大国主導のパワーゲームに翻弄されている。同氏は、中堅国同士の協力はリスク分散には寄与するものの、現状の国際秩序を左右する決定的な影響力には至らないという厳しい見方を示している。
背景情報
* 中堅国の苦境: 国際システムが混迷を深める中、日本、ドイツ、フランスなどの主要な中堅国は、大国間の対立から自国の安全と経済を守るための連携を模索している。
* トランプ政権の影響: 米国の外交方針が「米国第一主義」へと回帰・強化される中で、従来の同盟関係や国際協調の枠組みが揺らぎ、中堅国は自律的な外交戦略の再構築を迫られている。
* 集団的行動の限界: 多くの論者は中堅国が結束することで大国を牽制できると期待するが、現実には利害の不一致や軍事・経済的な依存関係が壁となり、統一した影響力を行使できていない。
今後の影響
* 「リスク分散」へのシフト
中堅国は世界秩序を主導する野心を抑え、特定の超大国への依存を減らす「デリスキング(リスク低減)」を目的とした、実利的な二国間・多国間協力へと戦略をシフトさせる。
* 大国主導のパワーゲームの加速
中堅国の集団的影響力が限定的である以上、国際秩序は米中を中心とした大国の力関係によって決定される傾向が強まり、中堅国は「ルール形成者」ではなく「ルール受容者」としての立場を余儀なくされる。
* 外交の二極化
中堅国は、自国の安全保障を確保するために、大国との距離感を個別に調整する「柔軟な外交」を強いられ、国際社会における中堅国間の連帯はさらに希薄化する可能性がある。
