要約
米・イスラエルとイランの紛争により、世界の原油・LNG供給の20%を占めるホルムズ海峡の通行が激減する中、イラクとパキスタンがイランと個別の通行合意を締結した。イランは海峡の完全封鎖から「通行の管理」へと戦略を転換しており、イラクは原油タンカーの安全な通過を、パキスタンはカタール産LNGの輸入ルートを確保した。海峡の通行量は戦前の5%まで落ち込んでいるが、今回の合意によりイランによる海峡の支配が事実上常態化しつつある。専門家は、各国がイランと個別に交渉することで、イランによる海峡の恒久的な支配が正当化されるリスクを指摘している。
背景情報
* 紛争の影響: 2月末の紛争勃発以降、ホルムズ海峡の通行量は月間約3,000隻から5%程度まで激減し、ブレント原油価格は50%以上、LNG価格は35〜50%急騰した。
* イランの戦略転換: 米国によるイラン港湾の封鎖を受け、イランは海峡の完全封鎖から、自国海軍の監視下で特定の船舶のみを通行させる「管理された回廊」へと方針をシフトした。
* 各国の事情: イラクは国家予算の95%を石油収入に依存しており、パキスタンは夏の電力需要増に向けたエネルギー確保が急務となっている。
今後の影響
イランによる海峡支配の常態化
* 各国がイランと個別に通行合意を結ぶことで、イランによる海峡の支配権が国際的に既成事実化する恐れがある。
* イランは通行許可の条件として、船舶の詳細な情報提供を求めており、海峡の管理権を外交カードとして利用し続ける見通し。
エネルギー市場の不安定化
* 通行許可のプロセスがイラン革命防衛隊(IRGC)の裁量に左右されるため、供給網の不確実性が高い状態が続く。
* 他国も同様の個別交渉を模索しており、エネルギー価格の高止まりや、イランへの制裁解除を求める圧力が強まる可能性がある。
