要約
ドナルド・トランプ米大統領は中国を訪問し、習近平国家主席による異例の厚遇を受けた。かつて選挙戦で中国を厳しく批判し、関税合戦を繰り広げたトランプ氏だが、今回の会談では習氏を「偉大なリーダー」と称賛するなど関係改善を模索する姿勢を見せた。しかし、台湾問題やイラン情勢、貿易摩擦といった懸念事項は依然として解消されていない。世界第2の経済大国として台頭する中国は、製造業や重要鉱物での圧倒的なシェアを背景に、米国の影響力に対抗する姿勢を強めている。今回の首脳会談は、米中間のパワーバランスが変化しつつある現状を象徴する出来事となった。
背景情報
* 過去の対立: トランプ氏は2016年の選挙戦から中国を「米国を食い物にしている」と激しく非難し、大統領在任中には100%を超える関税を掛け合う貿易戦争に発展した。
* 中国の台頭: 中国は現在、世界の製造品の3分の1を生産し、レアアースの加工で9割超、太陽光パネルやEVなどの重要分野でも6〜8割のシェアを握る経済大国となった。
* 外交的駆け引き: 習主席は、不安定な米政権に対し、自らを安定したグローバルリーダーとして位置づけ、欧州やカナダなど諸外国との経済連携を深めることで米国の関税圧力に対抗してきた。
今後の影響
* 台湾問題を巡る緊張継続
中国側は会談の裏で、台湾問題が両国関係の最大の障壁であることを改めて強調しており、軍事的・外交的な火種は残ったままである。
* イラン情勢における中国の役割
ホルムズ海峡の封鎖で経済的打撃を受ける米国に対し、イラン最大の貿易相手国である中国が仲裁役として交渉の主導権を握る可能性がある。
* 世界秩序のパワーバランス変化
中国の経済的・外交的影響力の拡大により、米国一強の時代から、中国が対等なライバルとして振る舞う「二極化」した国際秩序への移行が加速する見通し。
